こんにちは イチヨウです。
先日、お檀家さんよりこのようなご相談がありました。

「先日お墓参りの際に墓石に水をかけてからお参りしていたのですが、それを見た親戚にご先祖さまに失礼に当たる、と注意されました。本当に失礼にあたるのでしょうか?」
その親戚はお墓には「水鉢」があるのだからそこに水を入れるべきで墓石にはかけるべきではない、墓石はお魂がはいっているのだから直接かけるという行為はご先祖に水をかけているようなものだから失礼に当たる、という見解だそうです。
しかし、私は「お墓参りで墓石にも水をかけたほうがいい」と思っています。
本記事では下記内容を解説していきます。
◯お墓参りの時にお水をかける理由は2つ! ◯お墓にかけるお水は「清淨なお水」を! ◯お墓参りの際には墓石にお水をかけても大丈夫!
この記事を読むことでなぜお墓に水をかけるべきなのか、の本当の意味が理解できることと思います。
それではいってみましょう。
お墓参りで水をかける?かけない?


結論からいいますと、「墓石にも水はかけるべき」です。
それではなぜお墓参りの際にお墓にお水をかけるのでしょうか。
私が考える3つの理由は
①ご先祖さまの乾きを潤すため【お供えとしての意味合い】
②お墓の汚れを綺麗にするため【掃除としての意味合い】
③救われていない先祖を救うため【餓鬼供養としての意味合い】
順番に解説します。
①ご先祖さまの乾きを潤すため【お供えとしての意味合い】
水かけをすることの大きな理由の一つにご先祖様に水を飲んでもらいたいという「お供え」の意味合いがあります。
ご先祖様も「喉が渇く」と考え、私たちと同じように水を飲んで欲しいという気持ちが込められています。
実際に本当に喉が渇くかは亡くなった人に聞いたことがないのでわかりませんが、、、。
そういった供養の心を込めて水かけをする、というのであれば全く問題ありませんね。
しかしその場合はきれいな水を「水鉢」にお供えするようにした方が丁寧ですね。
決して失礼に当たる、とまでは思いませんが、せっかくのお供えするための水があるのですからそちらにお供えしたほうがいいですよね。
②お墓の汚れを綺麗にするため【掃除としての意味合い】
もう一つ、水かけをする理由に「お墓掃除」としての意味合いもあるでしょう。
墓石についた汚れやシミ、ホコリを洗い流すためににお水をかけて掃除をするために水かけをするのです。
ただ水で洗い流すだけでは不十分ですので、雑巾も用意しておき、水を含ませた雑巾でこすって掃除をするようにしましょう。
掃除をするのだから、これは失礼には当たることはないと思います。
ただし雑巾を絞った水をお供えするのは、さすがに失礼に当たるかもしれませんね。。。
そういったこともあるので、「お供え用の水」と「掃除用の水」は分けて使用するようにしましょう。
桶を2つ準備できれば一番いいのですが、そうでなくても掃除で一杯目を先に使い、お供えとお花の水替えのために新しい水を汲んできて使用する、などの心配りも大切です。
③救われていない先祖を救うため【餓鬼供養としての意味合い】
①救われていないご先祖さまの飢えや乾きを消すため
②ご先祖さまの憂いごとや怒りや恨みなどの「煩悩の焔」を消すため
です。
ご先祖さまの中には苦しんでいる方々も、、、
こういうと「うちのご先祖(特に祖父母や両親)がそんなことがあるはずがない!」と不愉快に感じる方もいるかも知れません。
ただ、落ち着いて、少し考えてみてください。。。
ご先祖さまは10代さかのぼるだけで1000人以上いらっしゃるのです。
20代遡ると200万人、、、。
この膨大な人数の中には
- 戦や騒乱で亡くなった方
- 災害や病気で亡くなった方
- 若くして亡くなった方
- 生まれてこれずに亡くなった水子さん
そういったご先祖も数多くいらっしゃると思います。
そういった方々の中にはこの世に未練を残している方や怒りや恨みなどを抱いている方もいるかも知れません。
志半ばで亡くなって、家族のこと、子孫のことが心配でたまらない方もいるかも知れません。
そういったご先祖さまのために、お水をかけてあげるのです。
水鉢にお供えするだけでは、足りません。
焔は消えません。飢えや乾きは消せません。
たくさん、かけてあげましょう。
心を込めて、供養の気持ちを持って。
そう考えると、お墓に直接お水をかけることは決して無礼でも非礼でもないと私は思いますがいかがでしょうか。
清淨な水をかけましょう【ただのお水でなく】
さて、もう一歩先へいきましょう。
実のところ、ただ単にお墓にお水をかけても先述の苦しんでいるご先祖さまには残念ながら届きません。。。
救われないご先祖さまのいる世界では水や食べ物は全て口に入る前に焔に変わってしまい余計苦しんでしまう、と言われているのです。。。
では一体、、、どうすればいいのか、、、。
大丈夫です。安心しましょう。方法はあります。
それは「お墓にかける水を清淨な水にする」ということです。
「清淨な水」というのはミネラルウォーターであるとか、水道水であるとか、そういったことではありません。
お墓にかける水やお供えする水に「南無妙法蓮華経」の「御題目」を唱えてからかけるようにするのです。唱える、というよりは吹き込む、という方がよろしいかもしれませんね。
各々が信じる短かいお経や「聖なる言葉」でもよろしいと思います。
特定の信仰が無かったり、よくわからない方は是非とも「御題目」を唱えてみて下さい。
そうすることではじめて救われていないご先祖さまにもお水が届きます。
煩悩や憂いの焔を消すことができます。
そうした「清淨な水」を直接かけてもらえれば、、、ご先祖さまは無礼に感じるどころか大変喜んでいただけると思います。
ちなみにですが、故人が好きだから、とジュースやお酒の類を直接かけたり、水鉢に入れるのはおすすめできません。
これはお供えに向かない、といったことではなく単にお墓が汚れ、悪臭がついてしまったり、シミになってしまったりカビの原因となってしまうからです。
まとめ : お墓にお水をかけましょう【清淨な水を 心を込めて】


お墓にお水をかける、かけないについてのわたしの見解でした。
丁度今はお彼岸の時期です。
これからお墓参りに行かれる方もいると思います。
清淨な水を、心を込めて、お供えし、供養することであなたのご先祖さまは大変お慶びになられるでしょう。
どうぞ安心してお水をかけてご供養してください。
ただ、これはあくまで私の見解です。
他の宗派や他のお坊さんの中には「そんなことはない!お墓にお水をかけるなんてとんでもない!」とおっしゃる方ももいらっしゃるかもしれません。
もしそのように注意された時は素直に従ったほうがよいでしょう。
要はその人の心持ちひとつ、ということです。